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世界の資源は枯渇せず―有限説はエコロジストの杞憂 – WSJ日本版

しかし、収穫高が増えるかどうかは資源次第であることは間違いない。まず水について考えてみよう。水は世界各地で食糧生産の制約になっている。1960年代と70年代に算出された2000年までの水の需要の予測は過大に見積もられていたことがわかった。実際に使われた水の量は30年前に専門家が予想した量の半分に過ぎなかった。

新しいかんがい技術が開発され、水が効率的に使われるようになったことが最大の理由である。イスラエルやキプロスなど一部の国では、「細流かんがい」という技術を採用することでかんがいに必要な水の量を減らすことができた。さらに太陽電池を活用して世界中で海水の脱塩を行えば、人口が真水の制約を受けることなくなるだろう。

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世界の資源は枯渇せず―有限説はエコロジストの杞憂 – WSJ日本版

約10年前までは、天然ガスはあと数十年で枯渇し、その後まもなく石油もなくなるというのは妥当な予想だった。もしそんなことが起きれば、農業の収穫高は急減し、世界は食糧生産のために残る熱帯雨林を耕すか、飢え死にするかという難題に直面することになる。

しかし、水圧破砕(フラッキング)技術とシェール革命のおかげで、石油とガスの生産のピークは先送りされた。石油もガスもいつかは枯渇するが、それはアイルランドの港から西に向かってボートで漕ぎ出せばいつかは大西洋の終わりに到達すると意味と変わらない。ニューファンドランド島にたどり着く前に漕ぐのをやめる可能性が高いように、おそらく、私たちは石油やガスが枯渇する前に化石燃料に代わる安価な燃料を発見するだろう。

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世界の資源は枯渇せず―有限説はエコロジストの杞憂 – WSJ日本版

世界自然保護基金(WWF)インターナショナルのジム・リープ事務局長は「私たちは地球が持続的に生産できる量より資源を50%多く消費している。方向転換を図らない限り、この数字は急速に増えるだろう。2030年には地球が2つあっても足りなくなる」と話す。

しかし、人類の歴史には奇妙な特徴がある。それは、人間がそのような限界を何度もぶちやぶってきたというものだ。結局のところ、サウジアラビアの石油相がかつて言ったように、石器時代は石がなくなったから終わったわけではない。生態学者はこれを「ニッチ構築」と呼ぶ。ニッチ構築とは、人間(実は人間以外の一部の動物もそうなのだが)は何らかの方法で自分たちの生息環境の生産性を高め、新たな機会を作り出すことを指す。農業はその典型だ。私たちは自然の恵みに頼ることをやめる代わりに、さらに大きな恵みを人工的に作り出した。

これと同じ現象を経済学者はイノベーションと呼んでいる。経済学者が生態学者の何にいら立っているかと言えば、生態学者が限界が静的なものであることを前提に物を考えるからだ。鯨油が枯渇し始めたころ石油が発見されたことや、農場の収穫高が横ばいになったときに化学肥料が登場したこと、ガラス繊維が発明されると銅の需要が落ち込んだことを生態学者は理解できないようだ。

生態学者も同じように経済学者に不満を感じている。経済学者は成長に限界があるという現実に向き合わなくても済むように「市場」や「価格」という迷信のような魔法を信じている、と生態学者は感じている。生態学者の会議で拍手喝采を浴びたければ、経済学者を侮辱する冗談を言えばいい。

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世界の資源は枯渇せず―有限説はエコロジストの杞憂 – WSJ日本版

私は生態学者と経済学者という2つの部族に囲まれて生きてきた。大学では7年間、さまざまな形態の生態学を学び、その後8年間にわたって英経済誌「エコノミスト」で働いた。私が生態学者だったころ(車に反原発のステッカーを貼ってはいたが、政治的な意味ではなく、学術的な意味での生態学者だった)、「環境収容能力」、つまり成長に限界があるという考え方を固く信じていた。今では、人間は少ない資源で多くを成し遂げる方法を考え出せるという見方に傾いている。

この不一致こそ、多くの政治問題の本質である。そもそもの考え方がかみ合っていないのだから、人々は環境政策をめぐって対立するのだ。例えば、気候変動について議論すると、悲観主義者は急速な温暖化を招かずに余分な二酸化炭素(CO2)に対応しようとしても大気の能力に限界がある、と考える。それゆえ、経済が成長し続ければ、排出量も継続的に増加して、最終的には危険な水準にまで温暖化が進む。だが、楽観主義者は経済成長が技術の変化をもたらし、低炭素エネルギーが利用されるようになる、と考える。そうなれば、地球温暖化は多くの被害をもたらす前に安定する。

例えば、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は産業革命前との比較で2100年までに気温が摂氏で3.7~4.8度上昇すると予想しているが、この予想は、技術がほとんど進歩しない、50年間続いた人口増加率の低下がとまる、人口1人当たりの所得の増加率は(たった)3倍、経済のエネルギー効率はあまり改善しない、という想定に基づいている。これは注目に値する。つまり、2100年の世界は今とほとんど変わらないものの、人口が大幅に増えて、今以上に石炭と石油を燃やした結果、温室効果ガスの排出量が増加する、と想定していることになる。これに対して、ほとんどの経済学者は2100年までに、所得が5~10倍増加する、技術が飛躍的に進歩する、人口増加がとまる、と予想している。人口が減るため、必要とする炭素は今よりはるかに少なくなるとみていることになる。

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世界の資源は枯渇せず―有限説はエコロジストの杞憂 – WSJ日本版

生態学者のカール・サフィーナ氏は出版したばかりの「The View from Lazy Point(レイジーポイントからの眺め)」の中に、全ての人間が米国人と同じ生活水準で暮らしたら、地球が2つ半以上必要になると書いている。米国人の消費水準を基準にした場合、今ある農地だけでは25億人以上分の食糧を生産できないからという。生態学の創始者の1人と言われるハーバード大学名誉教授のE・O・ウィルソン氏は人類全てが菜食主義者になれば、100億人を養うに十分な食糧の生産が可能と計算した。

経済学者の反論はこうだ。世界の大部分、特にアフリカには肥料や近代的な農業技術が行き渡っていないのだから、農地の生産性が今以上に向上しないと考えるのは合理的ではない。ロックフェラー大学のオーズベル氏は同僚のイッド・ワーニック、ポール・ワゴナー両と共に驚くべき結論に達した。人口が増加して、世界がますます豊かになり、肉などの高級品の需要が増えることを大目に見る一方で、将来における世界の食糧生産の改善率を厳しく見積もっても、50年に必要となる農地は00年から減少することがわかったのである(食糧を生産できる農地でこれ以上バイオ燃料を育てなければ、の話だが)。

引用元: 世界の資源は枯渇せず―有限説はエコロジストの杞憂 – WSJ日本版.

世界の資源は枯渇せず―有限説はエコロジストの杞憂 – WSJ日本版

1679年、オランダの偉大な顕微鏡学者アントニー・ファン・レーウェンフックは地球が収容できる人数を134億人と推定したが、ほとんどの人口統計学者は世界の人口がそこまで増えることはないと考えている。その後、10億人から1000億人までさまざまな数字が挙がっているが、意見はまとまりそうにない。

経済学者によると、私たち人間は肥料を使い、機械化を進め、殺虫剤を噴霧し、かんがい設備を整備した結果、1エーカー(約4000平方メートル)当たりの土地の生産性は上昇し続けている。今後、イノベーションが起きれば、上限はさらに引き上げられるはずだ。ロックフェラー大学のジェス・オーズベル氏は一定量の食糧生産に必要な土地の広さは全世界でこの50年間で65%縮小したという。

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【日本版コラム】アップルに買収された「Siri」が生まれたわけ、技術移転の“秘伝”/ WSJ日本版 – jp.WSJ.com – Wsj.com

この説明を聞きながら私が深く考えさせられたのは、Siriにしてもロボットの新会社にしても、SRIを中心としたシリコンバレーの“仲間”たちによって、最先端の技術や市場動向の情報が共有されているという点だ。こうした情報がSRIの外でも新しい技術の開発に拍車を掛け、トレンドを形成して行く。

「技術を起点にした“技術移転”というモデルは壊れている」とウィナースキー氏は切り捨てる。技術移転を成功させようと労力と資金を注ぎ込んでいる日本の大学や研究機関にこのメッセージが届きますように。

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精巧な手順に基づいた成功モデル

プロセスは大きく4段階に分かれる。第1段階は「コンセプト」の段階で、市場機会と、その市場が抱えている問題を解決する技術、顧客のニーズなどを分析し、起業候補となる技術の「ネタ」を見つける。これは行けそうだと思ったら、第2段階の「事業化委員会」に進む。ここではSRIが実際に数十万ドル規模の予算を投じ、経営者や専門家を雇って、プロトタイプないしはデモを作製する。6週間おきに事業モデルや顧客への価値提案を見直し、改善させて行く。

第3段階が興味深い。SRIでは「nVention」という、著名ベンチャーキャピタリストを交えた顧問会議を設けている。4-6か月ごとに開かれるこの会議で、SRIは事業化委員会の審査をパスしたプロジェクトを披露する。出席した投資家は最終的に投資するとは限らないが、その技術が世の中で使い物になるかどうか、フィードバックをくれる。顧問会議に参加するベンチャーキャピタルが実際にSRIの会社に投資する確率は20%だというが、ここで良い感触が得られた事業計画は、他の投資家を見つけに外に出る。そして第4段階でようやく会社設立の運びとなる。外部の投資家が見つからない限り、SRIは起業しない。「コンセプト」から会社設立までの期間は9-12か月だという。会社設立時にはSRIは新ベンチャーにIPを提供し、それと引き換えに株式を取得する。

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SRIは、米政府や世界中の民間企業から研究開発プロジェクトを受託するのが本業だ。米政府から技術開発を受託する場合、開発した技術の知的所有権(IP)はSRIのものとなり、それを自由に商業化できる。現に、Siriの元となった技術は、SRIが国防総省傘下の国防高等研究計画局(DARPA)から受託したプロジェクトから生まれたものだった。市場機会からビジネスが編み出され、最後にそれを実現できる技術を探し出すという順番なのだ。

SRIでは1992年以来、約45社のベンチャー企業を設立、育成してきた。長年、蓄積された無数のIPの中から生まれる会社は毎年たった一握り。他のインキュベーター(起業支援組織)が同時に多数の会社に投資し、育成しようとするのとは対照的で、SRIの起業支援は少数先鋭だ。どの会社を興すかを決めるのには、後に説明するが、SRI独自のプロセスがある。

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「技術を出発点に会社を設立すると、失敗は目に見えている」とウィナースキー氏は主張する。そうではなくて、大きな市場機会があったから、それに見合った技術を事業化したのだという。SRIでは2003年に「携帯電話が次の偉大なコンピューターになる」という調査結果をまとめ、その波にいかに乗るかを考え続けていた。そして2007年、ちょうど初代アイフォーンが発売になったころ、同氏らはある問題に気付いた。チケット販売やレストランの予約といったウエブサービスが、スマートフォン使用者による利用拡大に大きな期待を寄せていたが、小さな端末はクリックがしにくく、クリック操作が1つ増えるたびに多くの顧客を失うという問題が発生していた。この問題の解決策は「クリック数をゼロにすること」(同氏)。ではどうすればクリック数をゼロにできるかを考え、生まれたのがSiriのコンセプトだったのだ。

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