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漢(オトコ)のコンピュータ道: 特許は大企業がビジネスを支配するための道具である

特許はイノベーションの加速、技術開発の推進するものじゃなくて先行者が富を独占するためのものだし。そりゃ利益享受中は社会全体のイノベーションは減速するだろうよ。

いや、よく分かってらっしゃる。まったくもってその通りで、私もこの点に強く同意する。

その上で私が言いたいのは、先行者が富を独占し、イノベーションを減速させるような制度は社会にとって必要なのかということである。あらゆる社会システムは、社会に対して何らかのメリットがある、つまり公益になるから存在しているはずである。ならば何の公益にもならず、社会にとってイノベーションを減速させる足かせでしか無い特許という制度は、果たして本当に必要なものなのだろうか。

引用元: 漢(オトコ)のコンピュータ道: 特許は大企業がビジネスを支配するための道具である.

漢(オトコ)のコンピュータ道: 特許は大企業がビジネスを支配するための道具である

何らかの製品を販売しようとする。他社に特許のライセンス料を払わないようにしようとすると、該当しそうな特許を全てよけて製品をリリースしなければならない。だが、そんなことは実質的に不可能である。<反>知的独占の書評で「キヤノン特許部隊」という書籍についても紹介したが、例えばプリンターひとつとっても、過去にはゼロックスが600もの特許で自社の技術を独占していたというような状況がある。該当しそうな特許を全て調べあげていてはいつまで経っても製品は完成しないし、もし仮に抵触している特許が見つかった場合、その代替の実装方法を考案しなければならないし、もしかするとどうしても代替の実装はないかも知れない。

書籍「キヤノン特許部隊」では、キヤノンはゼロックスの特許に一切抵触しない新技術を使ったプリンタを開発し、しかもそのプリンタ技術がゼロックスの技術より効率が良くどんどんシェアを伸ばして言ったため、最終的にゼロックスからクロスライセンス契約の申し出を受けたという成功談が綴られている。だが、そんな対応はどのような企業でもできるわけではない。とりわけ、体力がまだないスタートアップには到底無理な話である。

とはいえ、まだまったく小さく、それでいて資金もないスタートアップに対して特許訴訟を起こしても、大企業にとって何のメリットもない。だから、スタートアップがある程度成功して、資金を手にした頃にそれを巻き上げるべく、特許訴訟を起こすのが最も賢いやり方となる。訴訟を経て巨額の特許使用料を支払ってしまうと大損することになる。それを回避して利益を得るには、大企業に会社を売っぱらってしまうのが確実なのである。スタートアップ企業は通常、、自社製品を独占販売するために中核となる技術については特許を取得しているものである。スタートアップ企業を買収することで、大企業はまんまと新しい特許も手に入れることになり、さらに支配力が強くなっていく。

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漢(オトコ)のコンピュータ道: 特許は大企業がビジネスを支配するための道具である

では大企業に買収されず、なおかつ訴訟もされずに済む方法はないのだろうか。実はある。

特許によって訴訟を起こされるのは、特許を含んだ製品やサービスを販売するからである。そういった活動を行わなければ訴訟を起こされる心配はない。何らかの技術について特許を取り、その特許を他社に売り込んだり、あるいは抵触してそうな製品を見つけて訴訟を起こし、他社から特許ライセンス料を得るという方法なら、他の企業から特許訴訟を起こされることなく儲けを得ることができる。とはいえ、特許に記載された技術が実際の製品開発に役立つことはほとんどなく、多くの場合抵触してそうな製品を見つけて訴訟するというのがそういった企業の主な収入源となる。

この話を聞くと、そんな企業活動は世の中の役に立たないではないかと思われるかも知れない。私もそう思う。そういった企業はパテント・トロールと呼ばれている。特許という制度がある限り、パテント・トロールのように、製品やサービスを一切リリースせず、社会に何も貢献しないような企業だけが儲けを手にすることになる。

従って、職務発明による特許が会社のものになってしまうからと言って、「自分で会社を起こして製品を作ろう!」などと思っても、その取り組みが上手く行く公算は非常に低いのである。金を儲けたいだけならパテント・トロールになるべきだろう。

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