タグ別アーカイブ: 橘玲

「オッカムの剃刀」と不愉快な世界 週刊プレイボーイ連載(178) | 橘玲 公式サイト

より単純な仮説が提示できる以上、それを反証する義務を負うのは複雑な説明をする側だ」というだけのことです。

現代社会では、暗黙のうちに「政治的に正しい」説明が強要されています。これは「関係者の誰をも傷つけることのない、万人にとって心地いい説明」のことです。

オッカムの剃刀は、「政治的な正しさ」の背後にしばしばより単純で不快な論理が隠されていることを示します。しかしほとんどのひとは、「この世界が醜く残酷だ」という現実を受け入れることができません。そのため世論を気にする政治家や官僚は間違った前提で政策をつくり、より悲惨な状況を招いてしまいます――現代社会の混迷とは、つまりはこういうことなのです。

引用元: 「オッカムの剃刀」と不愉快な世界 週刊プレイボーイ連載(178) | 橘玲 公式サイト.

第36回 スイス銀「スパイもどき」の教訓(橘玲の世界は損得勘定) | 橘玲 公式サイト

世界金融危機の前の話だが、香港のあるスイス系プライベートバンクに知人を訪ねた。彼は香港人だが、日本人の顧客も担当していて、年に何回か日本に出張する。そのときの“出張用グッズ”を彼が見せてくれた。特製の名刺には英語とカタカナで名前が印字され、あとは携帯電話の番号とWebメールのアドレスが載っているだけだった。携帯は日本で購入したもので、ふだん仕事に使っているものとは番号が違う。出張用のノートパソコンもあって、そこには顧客のデータはもちろん、銀行との関係がわかるものはいっさい入っていない。説明用の資料はあらかじめ国際宅配便で日本の知人に送っておいて、入国後に受け取るのだという。なぜこんなことをするかというと、入国時に身柄を拘束されて顧客情報が税務当局の手に渡るのを防ぐためだ。「まるでスパイみたいだね」といったら、「自分たちは顧客にとって最善のサービスを提供しているが、国家がそれを邪魔しているのだ」と説明された。

引用元: 第36回 スイス銀「スパイもどき」の教訓(橘玲の世界は損得勘定) | 橘玲 公式サイト.

第36回 スイス銀「スパイもどき」の教訓(橘玲の世界は損得勘定) | 橘玲 公式サイト

スイス政府は今年8月、金融機関が米国人顧客の隠し口座の情報を提供し一定の罰金を払うかわりに、脱税幇助での起訴を免れるという合意を米司法省と結んだ。プライベートバンクの守秘性を信じた顧客はひどい目にあうだろうが、顧客との約束より自分たちが生き残ることを優先したのだ。

スイスの名門プライベートバンクが犯罪者みたいことをやっていると知ったとき、「こんなのはぜったいおかしい」と思った。だがおそろしいことに、当事者にはこんな当たり前のことすら見えなくなってしまう。社会を揺るがす深刻な問題は、たいていの場合、子どもでもわかるようなことが起こすのだ。

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ゲーム理論で新車をもっとも安く買う方法 週刊プレイボーイ連載(99) | 橘玲 公式サイト

まず、車雑誌やインターネットで調べて、どの車を買うかを、装備も含めてあらかじめすべて決めておきます(ディーラーに相談してはいけません)。

次に、自分が住んでいる地区のディーラーをできるだけたくさんリストアップします。

そのうえで、順番にディーラーに電話をかけ、購入したい車種と装備の詳細を伝えた後で、次のようにいいます。

「この条件でいくらなら売ってくれるのか、あなたの最低価格を教えてください。その価格を次に電話するディーラーに伝えて、すべてのディーラーのなかでもっとも安いところから購入します。なお、購入する場合はその金額にぴったりの現金しか持って行きません」

これでディーラーは、あなたの情報をなにひとつ知ることができないままに、最低価格を提示するほかなくなります。この戦略はゲーム理論的には完璧なので、ディーラーにあなたと駆け引きする余地はまったくないのです。

引用元: ゲーム理論で新車をもっとも安く買う方法 週刊プレイボーイ連載(99) | 橘玲 公式サイト.

楽天的すぎるくらいがちょうどいい 週刊プレイボーイ連載(94) | 橘玲 公式サイト

楽天的すぎるくらいがちょうどいい 週刊プレイボーイ連載(94) | 橘玲 公式サイト
これまでこの現象は、集団主義的で抑圧的な文化と、自由で開放的な文化のちがいだと考えられてきました。ところが最近、「東洋にうつ病が多いのは遺伝的なものだ」という研究が出てきました。
うつ病の治療に有効なセロトニンの伝達に関係する「セロトニントランスポーター遺伝子」にはS型とL型があります。この遺伝的なちがいは性格に反映し、S型の遺伝子を持つひとは不安を感じやすく、逆にL型の遺伝子は快活で楽天的です。
日本をはじめ東アジアの国々では、S型の遺伝子が70~80%を占めます。それに対して欧米諸国では、S型の持ち主は40%程度しかいません。アメリカ人が底抜けに陽気なのは、彼らの遺伝子がL型だからかもしれないのです。
うつ病が遺伝子型で決まるなら、そこから文化を説明することも可能です。
日本や中国、韓国、シンガポールなどで集団主義的な社会が生まれたのは、ひとびとの不安感が強く、人間関係をできるだけ安定させようとしたからだ。それに対してヨーロッパの個人主義は、自主独立と冒険を好む遺伝子から生まれた……。
もちろんこの生理的な解釈が正しいと決まったわけではありません。しかし、人種(民族)間の遺伝子の差が文化のちがいに反映されるという証拠は徐々に増えてきています。

第27回 詐欺師が弄ぶ「こころのクセ」 (橘玲の世界は損得勘定) | 橘玲 公式サイト

第27回 詐欺師が弄ぶ「こころのクセ」 (橘玲の世界は損得勘定) | 橘玲 公式サイト: 進化論では、生物の特徴にはなんらかの理由があると考える。騙されやすいひとがいつも損してばかりなら、上手に子孫を残すことができずに淘汰されてしまうだろう。それにもかかわらず暗示にかかるひとがたくさんいるのは、信じることに進化論的な合理性があるからだ。人間は社会的な生き物なので、身近なひとたちを疑ってばかりいると誰からも相手にされなくなってしまうのだ。

第26回 振り込め詐欺、はびこる理由 (橘玲の世界は損得勘定) | 橘玲 公式サイト

第26回 振り込め詐欺、はびこる理由 (橘玲の世界は損得勘定) | 橘玲 公式サイト: 詐欺師たちは、架空請求が、数を集めれば必ず“当たりくじ”を引く確率のゲームだということを知っているのだ。

なんだ、“食糧危機”はウソだったのか【書評】 | 橘玲 公式サイト

なんだ、“食糧危機”はウソだったのか【書評】 | 橘玲 公式サイト: 日本の農業の問題は「担い手不足」ではなく、担い手が“多すぎる”ことだ。農業の競争力をグローバルスタンダードに引き上げるためには、農家の戸数を少なくとも現在の10分の1程度まで減らさなければならない。そうなれば、地方にはほとんどひとはいなくなるだろう。農業の再生と、地方の再生は両立しないのだ。

遺伝と環境から「幸福」を考えるということ 【書評】『遺伝マインド』 | 橘玲 公式サイト

遺伝と環境から「幸福」を考えるということ 【書評】『遺伝マインド』 | 橘玲 公式サイト: 人生における「成功者」とは、億万長者になって豪邸やプライベートジェットを手に入れることではなく、遺伝的な「比較優位」を最大化できる環境を自分のまわりにつくりあげたひとのことだ。そのためには、好きなことだけして生きていけるよう、人生を戦略的に設計しなければならない。

第11回 素晴らしきかな、ローン人生(橘玲の世界は損得勘定) | 橘玲 公式サイト

第11回 素晴らしきかな、ローン人生(橘玲の世界は損得勘定) | 橘玲 公式サイト: 彼によると、最高の人生とはできるだけ大きな借金をして死ぬことだという。

「かんたんな話だよ」と彼はいった。「借金っていうのは、要するに、働かずに大金を手にできる魔法のことなんだ。死ねばどうせすべてチャラになるんだから、銀行をだましてできるだけたくさん金を借りた奴の勝ちなのさ」